歯周病とは
歯周病とは、細菌の感染によって引き起こされる炎症性疾患で、歯の周りの歯ぐき(歯肉)や、歯を支える骨などが溶けてしまう病気です。
歯と歯肉の境目(歯肉溝)の清掃が行き届かないでいると、そこに多くの細菌が停滞し歯肉の辺縁が炎症を起こして赤くなったり、腫れたりしますが痛みはほとんどの場合ありません。なので自分から気づくことが難しい病気なのです。
さらに進行すると膿がでたり歯が動揺してきて、最後には歯を抜かなければならなくなってしまいます。
次のことも歯周病を進行させる因子(リスクファクター)となります。
1.糖尿病
2.喫煙
3.歯ぎしり、くいしばり、かみしめ
4.不適合な冠や義歯
5.不規則な食習慣
6.ストレス
7.全身疾患(糖尿病、骨粗鬆症、ホルモン異常)
8.薬の長期服用
9.部分的に歯がない(歯がある方で噛むため負担が増加し、歯周病を部分的に進行する)
10.両親が若い時から入れ歯だった
11.口で呼吸することが多い
12.免疫抑制剤を飲んでいる、あるいは免疫低下の状態
このような方は歯周病になりやすいあるいは進行が速い傾向にあります。
歯周病の治療
歯周病の原因は、歯に付着した細菌の塊である歯垢であり、それを取り除かなければ、歯周病の進行を予防することは出来ません。そこで、治療では、大元の原因である歯垢や歯石を取り除く『歯周基本治療』に主眼をおきます。これは、患者さん自身がおこなうセルフ・ケア(歯ブラシ)と、歯科医院でおこなう専門的なプロフェッショナル・ケアがセットになっています。
ただし、歯周病を悪化させる原因は歯垢だけでなく、喫煙や糖尿病などいろいろあります。プロフェッショナル・ケアを中心に、歯周病の原因を一つひとつ取り除く治療全体が、『歯周基本治療』なのです。歯周基本治療は、患者さん自身が軽度の歯肉炎の段階でも、中等度以上、あるいは重症に進行している人にも共通する治療です。歯肉炎や軽い歯周病なら汚れ(歯垢、歯石)を取り除くプロフェッショナル・ケアを主体とした『歯周基本治療』だけで治ることもあります。
一方、歯肉の奥に溜まった汚れが歯周基本治療だけでは、取り除けない場合は、『歯周外科治療』を行います。治療後の再検査で改善が確認できたら、メインテナンス(定期的に清掃と検査)、治ってなければ再度治療というように、治るまで治療と検査が繰り返されます。
当院の歯周病治療の特徴
- STEP1:問診、レントゲン写真撮影、口腔内写真撮影、歯周病検査
- まずは来院いただいた患者さん全ての方(緊急処置が必要な方を除く)に、基礎資料を採得させていただきます。これにより、一人一人に合わせた治療計画を提案しやすくなります。
- STEP2:セルフケアの指導およびプロフェッショナルケア
- 歯周病治療においての全ての基本はセルフケアです。まずは皆さんのセルフケアの確認をさせていただき、必要なアドバイスをさせていただければと思います。
加えてプロフェッショナルケアを行うことで、より細部に渡り感染源の除去および汚染物付着予防を目指します。
- STEP3:再評価
- セルフケアの確立とプロフェッショナルケアを行うことで起こる生体反応を評価・診断します。それによりより細部まで歯周病治療が必要な方と、メインテナンスへの移行を検討できる方とを割り振りしていきます。
実際のところ、ご自身の口腔内環境について初診時よりも更に詳しく知ることが出来るのはこの段階です。お時間を取りますので、不安なことや知りたいことなど、何でもお伺いください。
- STEP4:歯周病治療(歯科衛生士)
- 上記ステップを経ても残存する感染源の除去をしていきます。衛生士によるこの処置は、麻酔が必要なこともありますが、歯肉の中の歯石の除去や、歯根面の滑沢化などを可能にし、中等度以下の歯周病なら治癒することもあります。
その後も再評価を行い、STEP5またはメンテナンスへの移行を検討します。
- STEP5:歯周外科治療(歯科医師)
- 局所麻酔下にて1〜2時間かけて、丁寧に歯周組織の感染源の除去や形態改善を行います。皆さんの歯周病の病態は十人十色であり、全てオーダーメイドな手術計画をします。そして、歯周病の治癒および良好な予知性を目指した歯周環境を構築します。
- STEP6:メインテナンス
- 皆さんの歯周病を予防するために最も大事なことです。上記ステップを踏んでここまできても、プロによる定期的な口腔管理をしないと今までの努力が無駄になってしまうこともあります。逆を言えば、歯周外科など積極的なことを無理にしなくても、定期的なメインテナンスに通っていれば、比較的良好な維持を図れることもあります。
当院では、ただクリーニングをするだけではなく、個々の患者さんに存在するリスクを把握・管理し、共有するので、ご納得のいく説明を添えたメインテナンスを提供させていただきます。